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海外と日本酒
海外に住み始めてから、日本人として嬉しく感じた出来事があります。それは、日本に興味のある人が海外には沢山いるということです。筆者が日本人ということもあり、日頃から日本好きな海外の方に多く出会います。それは日本人として純粋に嬉しいことで、日本を誇りに思える瞬間の一つです。
日本酒に対する感覚の違い
日本好きな方々に日本の何が好きなのか?と聞いてみると、「文化」「芸能」「言葉」など答えは様々ですが、筆者の周りでよく話題になるのは「日本酒と食」です。
筆者の住むベルリンでは、日本酒を楽しむことができるお店が多く存在します。日本食レストランはもちろんのこと、日本酒バーもあります。数多くの銘柄を楽しむことができ、お客さんの層もさまざまですが20代30代の若い世代に特に人気です。
一方日本では、昔に比べて日本酒を好んで飲む人が少なくなり、古くからの酒蔵が存続の危機に陥っているのが現実です。現代では、お酒の種類が豊富になったことで、ワインやビールの人気に負けてしまっているのだと、聞いたことがあります。
筆者はデザイナーとして、創業300年以上の酒蔵さんとラベルのコラボを行ったことがありますが、その時にも酒蔵の方々が同じようなことをおっしゃっていました。筆者自身はこの経験から、日本酒の衰退の危機を目の当たりにし、日本人として、そして日本酒好きとして、どうにかしたい!と思い始めました。
若者へのアプローチを変えるには
日本酒を好んで飲む若い世代を増やすことが今後の課題でしょう。
まずは日本酒の持つ現在のイメージを変えていくのが大事だと考えます。
日本酒に対して「気楽に飲めない」というイメージを持つ人が存在することが分かっています。確かに缶ビールのように飲む気楽さは得られないかもしれませんが、日本酒のイメージもそれに近いものが得られるのではないかと感じています。
ベルリンでも日本酒を簡単に手取り、いつでもどこでも気楽に飲めるという環境ではありませんが、若い世代に人気なのには何か訳があると感じています。その訳とは、SNSの活用でしょう。
SNSを通して若い世代にアプローチを
日本酒を好きになってもらうにはSNSを通してのPR活動が最適だと感じます。多くの人が1日に何度もSNSをチェックし、そこから得る情報を元に動いているのが現代の当たり前です。
特に日本の酒蔵さんや販売店などが今以上に率先して日本酒をアプローチすべきなのでは?と感じています。ベルリンで日本酒を取り扱うお店は、SNSでのPR活動に精力的です。
SNSでのPR活動がいかに大事かは誰もが知っていることと思います。有名なインスタグラマーやユーチューバーなどと協力するのも良いでしょう。
日本酒のラベルデザインを豊かに
多くの日本酒ラベルは昔と変わっていません。変わらないラベルは歴史や伝統を感じることができ、それは素晴らしいのですが、そのラベルがもし日本酒のイメージを古くさせている原因だったらどうでしょうか。完全に変えるというよりかは、今までのものは残し、シーズンで新しいデザインを取り入れることを提案します。もしくは、少しアクセントを入れてリニューアルするのも良いのでは。
若い世代にアプローチすることを目的に、女性が手に取りやすい可愛らしいラベルや、プレゼントにしたいと思えるラベルを新たに作ることはどうでしょうか。
ベルリンではビールをはじめ、世界中のお酒を楽しむことが出来ますが、どれもラベルには拘りを持っています。お酒の陳列を見ると味よりも先に「ラベルデザイン」に目が届くのは確かです。同時にアートとお酒は切っても切り離せないと実感できます。
ラベルから興味を持ってもらうのも、日本酒の衰退を救う一つの方法なのではないでしょうか。
日本酒と日本の伝統を守りたいベルリン在住の日本人として、日本酒と酒蔵の存続を心から願っています。
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